Prairie Anchor
創業 2017
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帯広市白樺16条西
記事 · 農場直送 2025-05-17

農場直送とはどういうことか:帯広の小さなレストランの仕入れ方

帯広の小さなレストランが、十勝の農家と食卓をつなぐためにしていること
A
Alan Hutton
シェフ兼オーナー
2025-05-17
農場直送とはどういうことか:帯広の小さなレストランの仕入れ方

「農場直送」や「産地直送」という言葉は、いまでは帯広の飲食店でもあちこちで目にする。メニューの隅に小さく印刷され、黒板に白チョークで書かれ、ウェブサイトのトップページを飾っている。しかしその言葉の裏側で、実際に何が起きているかを説明できるレストランは多くない。Prairie Anchorでは、その問いに正面から答えることを大切にしている。週に3回、夜明け前に農家からの荷物を受け取り、その日届いたものをもとにメニューを調整する。この記事では、私たちの仕入れの実態を、プロセスの順番に沿って具体的に紹介する。

火曜日の早朝、駐車場で起きていること

午前5時45分、帯広の市街地にあるPrairie Anchorの裏口に、白い軽トラックが滑り込んでくる。荷台には、前日の夕方に芽室町の畑で収穫されたばかりのルッコラ、コールラビ、そして晩秋の名残りのような赤いビーツが積まれている。運転しているのは畑の主である野菜農家その人で、彼とのつきあいはもう4年になる。段ボール箱を一緒に運び込みながら交わす短い会話のなかに、その週の畑の状態、来週以降に期待できる品目、そして霜の予報が詰まっている。

受け取りはこのように、火曜、木曜、土曜の週3回行われる。土曜日だけはもう1軒、日高山脈のふもと、中札内村で夫婦が営む小さな農家も加わる。量は日によって大きく異なる。春の終わりにはエンドウ豆とストロベリーが溢れるように届き、1月の厳しい週にはルートベジタブルと温室育ちのハーブだけになることもある。その変動そのものが、仕入れの核心にある。

「農場直送」が意味すること、そして意味しないこと

農場直送という表現には、法的な定義がない。食品表示のルールにも、この言葉を使うための明確な基準はなく、どの飲食店でも自由に掲げることができる。だからこそ、その実態は店によって大きく異なる。卸売業者が農家から仕入れた野菜を中継するケースもあれば、農家と直接の契約を結んでいる場合もある。Prairie Anchorが行っているのは後者で、現在取引している農家は5軒、そのうち3軒とは年間を通じた優先購入の取り決めを交わしている。

優先購入とは、農家がその週に出荷できる量のうち一定の割合を、市場や他のバイヤーより先にPrairie Anchorに提示するという仕組みだ。価格は市場の相場に連動させることが多いが、端境期や不作のときに無理な値引きを求めない、という約束のほうが農家には重要だと、芽室の彼は言う。「価格より、毎週必ず電話をくれることのほうが助かる」と彼は話した。その継続性が、関係の土台になっている。

価格より、毎週必ず電話をくれることのほうが助かる。

農家との関係をどう築くか

Prairie Anchorが最初に農家と直接取引を始めたのは、帯広の中心街で夏から秋にかけて開かれる週末のマルシェがきっかけだった。十勝の生産者が自分の畑のものを並べるこの市は、地域の農家と料理人が自然に出会う場所で、料理人が買い物袋を持って自ら足を運ぶ光景も珍しくない。最初の1年は顔を知るための時間だった。どの農家がどの品目に力を入れているか、どんな農法をとっているか、話しやすい人かどうか。

関係が深まるにつれて、訪問の形も変わってきた。現在は年に2回から3回、農場に直接出向いている。夏の盛りに芽室の畑を歩きながら、秋に向けて何を植えるかを一緒に考える時間は、単なる視察ではなく、翌シーズンのメニューの設計にもなっている。農家にとっても、どのくらいの量を植えれば確実に引き取ってもらえるかがわかると、計画が立てやすくなる。

届いた食材がメニューに反映されるまで

木曜日の朝に届いた食材は、その日の夜のサービスに使われることが多い。受け取りから調理まで12時間以内というのが理想で、そのためにメニューの一部は週の途中で差し替えることを前提にしている。固定されているのは料理の構造であって、食材そのものではない。たとえばある週の温野菜のプレートは、届いたものがターニップならターニップで、翌週はパースニップで組み立てる。

この柔軟さを支えているのは、仕込みのチームが農場からの連絡を前日に受け取る習慣だ。芽室の農家からは水曜の夕方に「明日はこれとこれが行きます」とメッセージが届く。その情報をもとに、夜のうちに翌日の仕込みリストを修正する。すべてが計画通りにいくわけではなく、予告なく品目が変わることもある。そういうときのために、常温保存できるルートベジタブルや冷凍のストックが緩衝材になっている。

この仕入れ方を選んでいる理由

コストだけを見れば、大手の流通業者を使うほうが安くなる場合もある。農場直送の仕入れには、交渉、受け取り、品質確認、農家とのコミュニケーションといった時間的なコストが伴う。それでもこの方法を続けているのは、食材の鮮度や味という直接的な理由のほかに、地域の農業そのものに関わりたいという考え方があるからだ。

十勝は大規模な畑作のイメージが強いが、家族で少量多品目の野菜を育てる小さな農家も多く、後継者不足や離農によって少しずつ数を減らしている。Prairie Anchorが取引している中札内村の農家は「飲食店との長期的な関係があると、次のシーズンへ向けて投資する判断がしやすくなる」と話している。食材を買うという行為が、畑の先にある経営の判断にまでつながっている。

  • 週3回(火・木・土)の定期受け取りで鮮度を確保
  • 5軒の農家と直接取引、うち3軒とは年間優先購入の取り決めあり
  • 前日の食材情報をもとに仕込みリストを当日朝までに更新
  • 年2〜3回の農場訪問で翌シーズンの品目を共同で計画
  • 端境期や不作時でも値引き要求をしないという農家との約束を遵守

Prairie Anchorの仕入れについて、農家との関係について、あるいは食材のことで何か知りたいことがあれば、いつでも気軽に声をかけてほしい。

#農場直送#仕入れ#帯広#地産地消#農家との関係

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